思い出~病院での出来事~17
そのたびに、焼き肉店での食事が常となりつつあった。
けれど、そんな日々はすぐに終わった。
ある日の午後、主任先生である死神先生が母のところにやってきた。
いつも母は、その先生が来ると子供のように怖がった。
この日も、数値の悪化のために外出禁止を言いにこられたのだった。
されから更に数日後のこと、やはり病院食は嫌だと駄々を言った母が、「シジミかアサリの味噌汁が飲みたい」と言い出した。
私は、スーパーに行き病院内の台所で母のためにあさりの味噌汁を作った。
「あら、美味しそうね。」そう私に声をかけた女性がいた。
聞けば、ご主人が肝臓で入院されているとのことだった。
私は、少し多めに作ったのでよかったらどうぞと彼女におすそ分けをした。
この時の彼女の出会いと会話が後に私達親子の運命を変えることになろうとは、この時の私には知るはずもなかった。
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