通報者
その日は、本当に洗濯日和だった。
梅雨の晴れ間とはいえ、日中になれば暑かった。
それでも、湿気が少ないせいか室内にいればクーラーをかける必要もなかった。
私は朝からドタバタしていた。
昨日に片づけていればよかった書類だけれど、朝からしたほうが目も神経もすっきりしていると思って・・・、手っ取り早い話がサボったのだった。
それでドタバタと書類の整理をしながらしていたが・・・、向いの家の軒下で休んでいる年配の男性を見た。
珍しいことではない。
日かげのある向いの家は、少し休むにはちょうどよいらしく、年配の人はよくひと休みしていたからだ。
近くの工事現場の若い男性が、年配の男性に話しかけていた。
そこで、私は違和感を覚えた。
若い男性が、年配の男性を励ますかのように中腰で話していたからだ。
私は家からでて、二人のそばに行った。
「メガネが壊れてしまって・・・。」と私の姿を見た年配の男性が話しかけてきた。
彼の眼もとには血がついていた。
つまり、けがをしていたのだった。
若い男性が私に説明してくれた。
「この人・・・、手が震えているんです。熱中症だと思うんですが・・・。」
確かに年配の男性は、手といわず腕も振るえていた。
若い男性は、右手にスマホをもっていた。
『なんで、救急車を呼ばないの?』と私は、若い男性に問いかけた。
「だって・・・、この人が歩いて帰るというんですけれど・・・、全然立つこともできないのに・・・どうしようかと・・・」
聞けば、年配の男性は近くに用事があって、その帰りだったようだ。
でも、彼が歩いてきたのはわずかな距離。
車を路駐にしたため、車に帰りたいということだった。
私はいったん自宅に戻り、市販の麦茶をもって、年配の男性に渡した。
そして、若い男性には「ちょっと、そこにいて・・・救急車を呼んでくる」といって再び自宅にもどった。
「119番です。救急車ですか?消防車ですか?」
電話の相手はそう私に言った。
救急車がくるまでに、私は若い男性にお願いして年配の男性が路駐しているというお店の人に説明をしてもらうように頼んだ。
すでに、彼は年配の男性から車のナンバーと路駐の場所を聞いていると答えてくれた。
それからまもなく救急車が到着した。
近所の人は、町内のだれが倒れたのかと私に尋ねてきたが、見知らぬ人とわかると帰っていtった。
そのあとに警察からの電話
警察官の事情徴収
私と若い男性と警察官
年配の男性が救急車で行ったあとは・・・。
年配の男性を発見した彼と、通報者の私。
警察官に順番に尋ねられる。
人騒がせな昼下がり
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