まだ

夏バテしている身の上。

それでもリモート見合いがある。

今回の見合いは、リモートで5分ぐらいで終わると思った。

私は体調もすぐれないので、今回ばかりはマスクでノーメイクで立ち合いをすることにした。

相手仲人との挨拶の後は、お互いの会員の様子をみる。

すぐに相手は画面で現れたけれど・・・、時間が少し過ぎたところで、ようやく会員が登場。

それでは・・・と相手仲人さんと4人そろったことを確認し、挨拶をしてリモートから退室した。

1時間すれば、リモート部屋の様子をみるつもりだった。

私は夏バテして放置した仕事を片付けるつもりで他の仕事にとりかかった。

突然、携帯電話のベルが鳴った。

相手仲人さんからだった。

「会話が成立しません。入ってきてください。」

まだ退室して3分か5分しか経っていない。

あの時は、普通に進行していたのに何があったのか？

リモート部屋に入ると、私の会員の声が金属音になっていた。

何が起こったか？わからないうちに画面が消えた。

電話で会員を呼び出したが、固定電話にかけて欲しいといわれた。

スマホ使用なら、当たり前のことだと思い、一旦はけして架電する。

その後、会員の金属音の声は快復することはなかった。

なにをいっているかわからない会員に見合い相手はまるでわかったようにうなずいた。

「無理だ・・・」そう思いながらも放置し、画面を消す。

1時間が過ぎて、相手は丁寧にあいさつしてくれた。

私は、相手と相手仲人に謝罪の言葉を述べた。

翌日、見合い失敗の報せ。

いつもなら理由をいう相手仲人に、今回はコメントはない。

会員がスマホで失敗しても、タブレットを持っていたからこんな結末になることも情けない。

全てはご縁がない・・。諦めた気持ちで空を見上げた。

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