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悲しい思い出5

私は研修医の彼女の背中に向けて言った。


「先生!生存率が15%なら私はそれに賭けるしかありません。
母は私にとって大事な家族だから、見捨てられません。
先生が私の立場なら同じことをされるでしょう?
母のことをお願いします!!」
私は研修医の彼女に懇願した。


唯一、効果があるという薬・・・ステロイド(ホルモン剤)の投与が始まった。


一時期、この薬で効果がみられたものの・・・、その効果はわずかであった。


そんな中のある日、また野外の廊下にいる私のところに研修医の彼女がやってきた。
「あまり良い状態とはいえませんが、わずかですがとりあえずお母様は落ち着いておられます。
このままうまくいけばいいのですが・・・。」


そういうと、彼女は少しからだの向きを変えて世間話をしだした。
「それはそうと、私は今、学会の論文の準備をしているのです。
あなたのお母様の病気を発表して、もっと多くの人に知ってもらいたいと思いますから・・・、ところが、この病気の名前をどうすればよいやら・・・。」


私に名前を一緒に考えてほしいのか?と思った。
彼女の言葉どおりの話ならそういうことになるけれど・・・。


『ところで先生、母は把握していますが私は具体的なことはわかっていません。
結局、どこがだめで悪性の貧血となっているのでしょうか?』
と私は研修医の彼女に質問した。


今までも研修医を統括しているという主任医長が説明してもらっても、今一つ理解ができないでいた私だった。


「背中にある骨髄の中で、人の血がつくられ、再生されているのです。
ところが、あなたのお母様は血液がつくられず、再生されないので、ドンドンと貧血状態がひどくなる病気です。」


「先生、母の病気は血液が再生されない病気なのですね?
それなら”再生不良性貧血”というのはいかがでしたでしょうか?』


私の言葉に研修医の彼女は納得したようにうなずいた。
「なるほど!既存の名前が他の病気に使用されていなかったら・・・その名前もいいかもしれない。」


1か月後、彼女は緊張した表情で私たちの病室に訪れてきた。


研修期間が終わったとのご挨拶にこられたのだ。