春なのに
2月のまだ肌寒い頃の午前中、私は病院の診察室の前にいました。
だけど診察室には入りません。
今日は、リハビリ治療にきてました。
待っている間に電話がなり、『ちょっとな・・・、具合悪いねん・・・。」と弟が私に言うのです。
平日の、しかも多忙な時間であるはずの頃なのに、なんでだろうか?と私は思いました。
「誰の話?」そう弟に言ったけれど、心当たりはありました。
「もう、あぶない言われてな・・・、とりあえずみんな行っているみたいや・・・、残業しなあかん日やけど・・・早く行かんと・・・。お義母さんが・・・。」
いつになく暗い口調でいう弟に、なんと応えたらよいかわかりませんでした。
一昨年の後半で、お義母さんはステージ4と宣言されたそうです。
それから、昨年のお正月は弟夫婦に促されて、義妹の実家でご両親などと過ごさせて頂きました。
正直、お義母さんは病気だからと私はお手伝いのつもりで行ったのですが、行ったらメチャクチャ元気だったのです。
そればかりか、「お義姉さんは、座ってて!」と・・・、これじゃお義母さんの負担になるやんと思いましたが・・・。
精一杯、めいっぱい、可愛い娘のために思いっきり頑張って、元気を演じてこられたのでしょう。
誰にも迷惑をかけず、誰にも心配をかけず、そんな感じで病魔と闘われていたのでしょう。
弟からの電話があった5、6時間後には、お義母さんは旅立たれていかれました。
お通夜、葬儀の日ともに春のような温かな日差しでした。
最期のお別れのときに、お義父さんが「ありがとう!あんたに会えて幸せやった!!」と声をかけられていました。
本当なら、これからお二人で旅行を楽しまれるはずだったのに・・・。
春なのに・・・。
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