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悲しい思い出32

医師と看護師たちの治療がすむと彼らは母の病室を出て行った。


甥は自分がきたことで思わぬ事態が起こったことで居心地が悪くなったのか、帰ると言い出した。


私は甥にもう少しいるように言うと、母の様態を見て洗濯物を取りに帰った。


本当なら自宅に帰ったらお風呂にゆっくりとつかるはずだったが、母の着替えの洗濯物を取りに行き、シャワーを軽く浴びてから急いで病室に戻った。


母が眠る傍らの椅子で、寂し気に座る甥に心配するなと言って、私は甥に帰ってもらった。


その日は私は病室に泊まり込んだ。


翌朝、まだ眠ったままで青白い顔の母を見ながら、私はナースセンターへと行った。


改めて、何故こうなったのかを母が眠る病室まで説明にきてもらうことにしたのだった。


しばらくすると、主任医師と看護師長がやってきた。


私は心の中では、どうにもならない感情を抱きながらも眠り込む母を動かせない状態であることを自覚し、できる限り自分の感情をださないようにした。


もし、このまま母が眠り続けるなら・・・、最悪の場面が頭の中でぐるぐるとまわっていた。


彼らは、私にお詫びをいったがそんなことよりも、やるべきことがあったはずだと私は彼らにいった。


今後、同じようなことがこのままのシステムであるなら起こりうる可能性は大であった。


第二の母のような災難がでないように、もし私の願いがかなわないならば、違う方向からでも改めて要求しなければならないことも言った。


違う方向とは、訴えるということだったが、彼らは私が説明しなくとも意味を理解したかのようだった。