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悲しい思い出31

病院の廊下を歩きながら、たまった洗濯物を取り込まなければと私は考えていた。


病院の出口から2,3歩ほど歩いた時に、私の携帯電話に甥からかかってきた。


「大変だ!!すぐ戻ってきて!」甥の悲鳴に近い声を聞いた私は急いで母の病室へと戻った。


そこには甥と医師2人、そして看護師さんが2人いた。


母は物言わず眠ったような状態だった。


さっきまで、元気に話していた母とはまったく違う様子だった。


「なにが・・・⁈」私はまだ事態の把握ができずにいた。


せまい病室は病院スタッフで満員状態に近かった。


私は甥を連れ、急いで病室の外の廊下の椅子に座らせた。


甥から事情を聞いて、私は驚いた。


看護師が他の患者の薬と母の薬を間違えて、母に飲ませたというのだった。


その薬は強い作用を引き起こす睡眠剤だったというのだった。


この薬は激痛に悩んでいた他の患者のものだった。


そう、問題の男性看護師が薬をまちがえたのだった。


しかも、まるで私が病室をでるのをはかっていたかのようなタイミングで、
彼は母に薬を飲むようにうながしたのだった。


母が病室で他の看護師さんたちに薬の渡し方に問題があるから注意してと言っていたが、私が念を押しにナースセンターまで苦情を言いにいったから、こんなことをしたのだろうか⁉


私は看護主任や看護師長、主任医師を呼び、抗議した。


彼らは事情説明をしたが、昏睡状態となった母の身体を治療したとしか言わなかった。


このまま母の目が覚めなければ・・・、そんな強い薬を・・・、甥が親切に言ってくれたけれど、もう少し病室に私がいたら、この災難がなかったのではないかと思うと、医療スタッフに激怒しつつも、母に対しては自責の念にかられていた。