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悲しい思い出28

「もう、お母様は働ける身体ではありません。余生を大切にしてください。」


病院から退院する際に死神先生はそう言われた。


それから数か月後、私達が病院の受診を終えて家に帰ってくると、家の中が一変していた。


鍵を開けて玄関に入った途端、私達の目には悲惨な状態となった我が家のありさまが飛び込んできた。


ドアは斧のようなもので破られていた。


強盗にあったのだった。


塀を乗り越え庭からベランダのサッシのドアが破られていた。


ここが強盗の侵入口だと、通報してこられた警察の人が言った。


母は、幼い頃から銀行に預けることを嫌がった。
私がなんど言ってもしなかったのだ。


この時も、ようやく少しするようになりだした頃だった。


しかし・・・、我が家のほとんどの財産が入っていた金庫は破られてしまっていた。


病身の母の看護、仕事・・・、私は途方に暮れた。