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悲しい思い出14

私は、外を食い入るように見つめている母に何処へ行きたいかを尋ねた。


母は、自分の姉弟のところへ連れて行ったくれと私たちに言った。


先に行ったのは、叔父の家だった。


母は、ゆっくりと私達の介添えで叔父の家に入った。


叔父の家とはいえ、母の実家である。
しかし、母は家庭のある叔父夫婦には遠慮をしないのが通例であった。


それは、祖父母が亡くなった際に相続するときに、母が相続放棄をする代わりの条件だったようだった。
母にとって多額の相続としてお金で受け取るよりも、叔父夫婦がいるかぎり、いつでも祖父母の仏壇に行けるほうが母には大事だったようだ。


以前、叔父が正式な相続放棄の書類を母に持ってきた際も母は頑なに拒否をした。
そんな間柄の姉弟ではないだろう?嫁にでもいわれたのか?とでもいうように叔父を母はにらみつけたことがあった。


あの時の私は幼すぎてわからなかったが、今ならわかるとは思っていた。
けれど、それは母だけの事・・・、私たちは、叔父夫婦に挨拶しながら家に入っていった。