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名門の女

ある日の午後、


その女性をしばらくぶりに見た。


門構えの屋敷の門が少し開いていた。
交差点での信号待ちは、その屋敷まで続いていた。


私は、その屋敷の前で止まりたくはなかったが、信号待ちだから仕方ないとあきらめていた。


穏やかな春の日差しの中で、明るく会話を交わす中年の男女は幸せそうだった。
その傍らには、自家用車が停まっていた。


しばらくすると、一人の男性が老女を抱えるように連れてきた。
その老女を見るのは。本当に久しぶりだった。


この老女を抱えているのが、その女性の長男だった。
そして、最初見たときの男性は次男。


では、あとの女性2人は彼らの奥さんということだろうか?


私が彼らと会っていたときは、まだ2人とも独身だった。
そして、老女もこれほどまでに体力が弱った状態ではなく、むしろ元気のかたまりのような女性だったが、月日が流れるということをこの時ほど感じたことはなかった。


老女の父親は、人柄が良いといわれた学者だった。
それが、なによりも今は老女となった彼女だが、若かりし頃から自慢だったようだ。


そして、一度遠方の地で同棲した相手とは破綻している。
その時に、女の子を流産している。
この事を知っているのは一部の人間だけだった。


婚姻をしていない・・・、そんな彼女に当時に、超名門といわれたところから縁談があった。
・・・ということになっているが、いわゆる押しかけ女房同然だったという。


それでも、晴れて結婚となった。


それからの彼女は、セレブな生活を欲しいままにしたという。


そんな生活も5年ほどしか続かず、配偶者が他界となった。


それからは遺産が支える生活となったが、彼女の態度がよくなかったのか世間ではあまりいい話は聞かない。


まあ、誰になんといわれても、そして誰を陥れても、それなりに生活してきたのだから、それはそれで評価されるのかもしれない。


けれど、友達は選ぶべきだったんじゃないか?と私は思う。
彼女の悪口を言っていると名指ししてきた老女の友人は、私の母が悪口の根源だといったが・・・、


結局のところ老女は、その友人におどらされて、幼馴染の私の母を絶縁したが、結局のところは悪い噂はとまらなかったことだろう。


私の母はといえば、老女の育ての母と幼き日に約束したことを守って沈黙したまま、静かに耐えぬいてしまった。


老女は誰を見てもバカにし、自分ほど賢い人はいないとよく叫んでいた。


私は、老いはてた老女の姿をみながら無言で彼女に質問していた。
「名門」とはどんな価値があったのですか?
仕事が嫌いなあなたに応援してくれた人を、何人ぐらい裏切ってきたのですか?


その日が老女をみた最期となった。
もはや遠い過去の女となった。