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俺流の婚活

その男性はいつも遅刻してきました。


最初の1回目は仕方ないと思っていました。
他府県からの彼にとっては、迷っても仕方ないと思いましたから・・・。
でも、それにしても連絡がないというのはどうなんだろうかとも・・・?


2回目に来たときも、また遅刻でした。
前回と同じ場所でのパーティーでしたから、今度は道に迷ったはずはありません。
それでも、今度は乗り物に乗り遅れたと言い訳をしていました。


3回目にきたときの彼は、遅刻をしましたが5分程度のものでした。


今回は女性が多く、しかもグループで参加もあったのでカップリングの確率が高ければいいのにと私は思いました。


しかし、このグループの女性たちはパーティーの最中だというのに、やけにトイレによく行くグループでした。


ホテルでの婚活パーティー、ホテル内のレストランの個室だから、他の人に顔をさすことはありません。


あまりにも女性グループがよくトイレに行くので、私はトイレに何があるのだろうか?と疑問をもちました。
それでトイレに行ったのですが、何もありませんでした。


急いで、パーティー会場がある個室に向かおうとする私の手をしっかり握りしめにきた女性がいました。


先ほどまで、個室をでたところにいた男女のうちの女性でした。
(え?まだ廊下にいたんだ・・・)と私は思ったのですが、私の手を握った女性の手が震えているのに気づきました。


「どうしたの?」そう尋ねる私に、彼女は小さな声で『たすけてください・・・』というのでした。


私は急いで男性のほうを見ると、いつも遅刻していた彼が普通の顔をしてパーティーのある個室へと入っていきました。


私は、レストランの待合席で彼女に事情を尋ねました。
なんと、ずっとしつこく交際を遅刻男が彼女におどすようにせがんでいたというのです。


近くに一緒にきた女友達もいたようでしたが、その人に気づかれないように彼女をたくみに個室から連れ出したあと、交際を迫られたのだそうです。


私はとりあえず彼女をパーティーにもどし、彼女が座っていた席と私の席とを交換することにしました。


それからパーティーは終了となりましたが、彼女は1人では怖くて帰れないといいだしました。
そのころには、一緒にいた彼女の友人にも事情を把握してもらっていました。


私は「二次会でお茶にしますが、こられませんか?」と皆さんに尋ねると半分ほどの人が参加されるといって残ってくださいました。


けれど、遅刻男は残りませんでした。
『待ち伏せされているかもしれない・・・。』


そういってこわがる彼女を、私と彼女の友人が、彼女をはさんで歩くことにしました。
あとに残ってくれていた男性には、身長の高い男性2人に前を歩いてもらい、彼女とその友人の横の両サイドに男性がまもるように歩き、一番うしろに私とあとの2人の男性が歩くという厳戒態勢っぽいグループとして歩くことになりました。


ホテルを出ようとしたとき、遅刻男が現れました。


彼女の言った通り、待ち伏せをしていたのでした。
先ほどまで一緒に婚活パーティーにいた人たちの中に彼女を見つけた遅刻男でしたが、前列の男性2人が彼をにらんでくれたせいか、彼はなにも言わずに退散しました。


それから数日後、次回の婚活パーティーの告知をした私のところに遅刻男から参加の連絡がきました。


私はメールで「今後、私の会にはこないでください。あなたの参加を当会は許可しません。」と遅刻男に送信しました。


遅刻男は、私のところに電話してきました。
『どうしてだ?なんで俺が参加しちゃいけないんだ?!』という彼に、


私は「いつも遅刻するよね?しかも、迷惑行為をするというのはどういうことですか?」というと


遅刻男は『俺は迷惑行為なんかしていない!』というので、


「婚活パーティーの会場にレストランの大きな個室をもらっているのに、なにがたりなくて個室をでて廊下で立ち話をしなければいけなかったんですか?しかも、あの廊下は厨房の出入り口で、あそこにお客がいればスタッフの方に大迷惑になるところじゃないですか?!大人のくせに何を考えているのですか?そのうえに、待ち伏せ行為などゆるせるはずがないじゃないですか!?」と私は遅刻男に言った。


『待ち伏せなんかしていない!だいいち、あんたは俺を見てないじゃないか?ぬれぎぬだ!』と彼は私に怒鳴るようにいったので、


「私が見ていない?見ていないのはあなただ!私は前列の男性2人の後ろであなたをみていましたよ。パーティー終了後30分にあの場所にいるなんておかしいじゃないですか?それに、あなたにも二次会も誘いましたよね?あなたに限らず、皆さんに公平にお誘いしたにもかかわらず二次会にこないというあなたが、いつまでもいるのは待ち伏せじゃないんですか?」と彼の言葉に私は反論しました。


『俺には俺流のやり方がある。こんなこと許されると思うのか!?訴えてやるからな!』と彼がいいだしたのです。


「訴えるなら、どこでも訴えたらいいんじゃないですか?いつでもどうぞ!あなたは規約違反をしたんですから、こちらとしては反訴しますよ。あなたが何と言おうと婚活パーティーの参加は許しません!私が主催者です。この会はあなたのものじゃない!!」といって話を終えました。


後に、よくトイレに行っていた女性グループのひとたちは、彼が無礼な態度をとったことに腹が立ち、怒ってトイレ会議をされていたことがわかりました。


それなら、なんでそばにいる私になにもいってくれなかったかのかと・・・思うばかりでした。